ここ岡本には教育に熱心な方が沢山おられます。ピアノだけに留まらず、水泳にバレエに塾、英会話、サッカーなどなど、「大丈夫?」と可哀想になるぐらいに忙しい子供が沢山います。そして中学受験率も高いため、4年生の進学塾入塾を機にお勉強以外の習い事を辞めてしまう子も沢山います。
 
 では、4年生で辞めてしまうかもしれない子供達に、私は何ができるかしらと常に考えます。楽譜を読める様になる事を一時的なインプットで終わらせない事、ピアノを辞めても小学校の音楽会での楽器オーディションや、中学で出る音楽の基礎的テストに苦労しない事、大人になってもアウトプット出来る様に、がっつりと基礎を教え込む事です。ピアノを弾く事から離れれば、当然指は鈍ります。でも楽譜を理解する事は、文字を覚えたり、泳いだり、運転するぐらいに脳に残る一生ものです。時間とお金をかけてレッスンに通った事を無駄だったと思われない指導をする責任が私にはあります。そのためにも、レッスンに通う生徒に3つお願いしたい私のモットーがあります。
 
 1つ目。家族旅行やお熱などの体調不良の日は除いて、必ず毎日、最低限幼児なら15分、小学生なら30分はピアノや楽譜に触れる事です。習い事には行った先で上達させて家では練習しなくても良いものもあります。でもピアノは違います。毎日練習する事で気づいたら上達していく習い事です。練習する事で指の筋力も上がります。またレッスンでインプットした事を、家で指を動かす事で脳と連携してアウトプットに繋がります。
 
 2つ目。レッスンを受ける本人にピアノを習いたい気持ちが強くある事です。親が無理矢理させるのではなく、生徒になる本人の気持ちを大切にしてあげて下さい。練習はたとえ趣味でも上手く出来ない時には辛いです。それでも好きなら頑張れるはずです。また私も、気持ちのない生徒に教えていると、やるせない上に生徒がお金に見えてしまいます(失礼でごめんなさい)。毎回のレッスンで新しい知識、テクニック、喜び、何かしらを必ず私から持って帰って欲しいのです。なので生徒がお金に見えてしまったその時は、こちらからレッスンをお断りします。頑張っても出来ないのと、頑張らずに出来ないのとでは大きく意味が違うという事です。頑張っている生徒には出来るために何をすれば良いのか明確に説明しますし、練習の仕方も沢山種類があるので、その生徒に合った方法で教えます。教える姿勢と教わる姿勢をとても大事にしたいと思っています。生徒によって環境は千差万別ですし、人間なのでその時の状況でやる気のup、downはあると思うので、常に状況を把握して無理のない課題を心掛けています。
 
 3つ目。お箸や鉛筆の持ち方と同じく、自分の思うがままにピアノを弾くに欠かせない事の一つに、手のフォームの重要性です。これは脳と身体がまだ柔らかいうちこそ、とても大事です。どうして指を丸めないといけないのか、一本一本持ち上げるのか、しっかりとした理屈があります。細かく言えば、背筋、体重のかけ方、脱力の仕方、筋力の向上、呼吸、触覚、視覚、聴覚と全てを連動させてピアノを弾きます。指が潰れたまま演奏し続けると、潰れたフォームが癖となりそのまま成長します。大きくなるとなかなかというより、ほぼ治りません。勿論演奏できるレベルに限界が訪れます。重要性を知っている限り、私はすっぽんの様にそこに拘ります(笑)。それも教える側の責任だと思います。ですので「指のフォームにしつこい先生」をご理解ください。そして一緒に試みる努力をしてくれると嬉しいです。